これを読めばミシュランの全てがわかる!本当に日本は美食大国なのか?

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Michelin LIVE UK

ミュシュランガイドの影響もあって、世界中でレストランやホテルなどを星の数でランク付けする習慣が生まれました。日本でも星の数でランク付けする料理番組もあります。そのミュシュランはなぜ生まれたのか?世界的に有名なミシュランにまつわる色んな話をお届けしたいと思います。

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ミシュランガイドはなぜ生まれたのか?

ミシュランガイドは元々は、フランスのタイヤメーカーであるミシュラン社が考え出した旅行のガイドブックでした。パリ万博が開催された1900年から発刊しています。

ムッシュ・ビブグルマン
Double-M

このミシュランのイメージキャラクターは「ムッシュ・ビブグルマン」という愛称で、モコモコした風体は全身がタイヤでできているからです。

元々はガイドブックを頼りに、あちこちのホテルやレストランなどに車で移動してもらうことで、タイヤの消耗が早まることが狙いでした。今ではレストランや観光地、ホテルの評価基準を示す、世界でも最も有名なガイドブックになっています。

中でも、レストランの評価を星の数で表すガイドブックが特に有名です。装丁が赤色なので「レッドミシュラン」とも言われています。旅行ガイドは緑色を基調とした装丁で「グリーンミシュラン」と呼ばれています。

レストランが星を1つ獲得するとその店の売り上げは30%増え、ある国でミシュランガイドが刊行すると、その国でミシュランタイヤを買おうと思う人が3%増えると言われていました。

しかし、実情は赤字続きだそうです。2011年から4年間で累積8000万ユーロ(約100億円)の赤字ともいわれ、ガイド・地図部門は縮小し、オーストラリア版は売れ行き不振から廃刊になりました。2010年以降はラスベガス版、ロサンゼルス版も経済的事情で休刊となっています。

東京は美食が集まる世界一の都市と絶賛の声

ミュシュランガイドのレストランの格付けでは、東京の星付きレストラン数が、美食都市を誇るパリよりもはるかに上回る結果となりました。パリは94店だったのに対し、東京は226店だったのです。

ミシュランガイドの総責任者のジャン・リュック・ナレ氏によると、「パリの日本料理店では、お寿司や焼き鳥などがすべて一つのお店で提供されているのに対し、東京ではそういった店が専門化されている」と語っています。

さらに、「専門化されていることにより、それぞれが高い技術を求め、他を寄せ付けないほどのレベルに発展している。また、日本の料理人はプロ意識が高く、自分の作る料理に細かいこだわりを持ち、技術も磨こうという向上心が高い」と日本人の職人気質と食文化を絶賛しています。

たしかに、フランスではフランス料理といえば食事処は「フランス料理レストラン」に限定されますが、日本は一言に日本食と言っても、天ぷら屋、うどん屋、蕎麦屋、焼き鳥屋、鰻屋、ふぐ料理屋、寿司屋などなど細かく専門化されています。

本当に東京が世界一の美食都市なのか?

フランスは私にとって大学時代の憧れの地で、最初に住んだ外国がパリでした。そのためか、「東京は美食が集まる世界一の都市」には疑問があります。そもそも土台の母数が違い過ぎるのです。東京の人口は約1300万人、対してパリは220万人です。

2011年の仏ル・モンド(新聞)調べによれば、東京のレストラン数は16万軒、比べてパリは1万5000軒しか存在しません。なんと12倍の差です。圧倒的に東京の方がレストランが多いのです。この認識もふまえておく必要があるかと思います。

本家フランス版と日本版の違い

同じミシュランガイドでも、実は各国によって微妙に事情が異なります。

写真が多い日本版

ミシュランガイド2013年度版までは、「すごい!日本版は掲載している店の全てが星を獲得している!」と感じた方も多かったと思います。しかし、それは日本は星を獲得している店の数が多く、その掲載だけで一冊の本が仕上がるからなのです。

更に日本版は、本家のフランス版と比べても写真の掲載が多く、目で見ても楽しめるように仕上がっています。

本家のフランス版

フランスのミシュランガイドは、NTTのタウンページような風情です。写真はまったく載っていません。基準をクリアした店であれば、星を獲得していなくても掲載されています。

フランス版は町(都市)が一つのくくりになっており、アルファベット順で掲載されます。各町ごとに主立ったレストランが順番に書かれているスタイルなのです。

そのため、ガイドブック自体がかなり重いのですが、元々が車移動を前提に作られたものです。ヨーロッパ国内の移動は車でも可能であるため、ヨーロッパのミシュランガイドは星を獲得していない店の情報も多く掲載されているのではないかと思います。

私は日本版やアメリカ版においては、車のタイヤの消耗やタイヤ販売を目的としたミシュラン社の宣伝効果もさることながら、一つの書籍としての収益を見込んだ内容で制作されているように感じます。

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評価基準

星の評価対象は「料理」のみです。内装やサービスは対象ではありません。

料理の審査ポイント
● 素材の質
● 調理技術の高さと味付けの完成度
● 独創性
● コストパフォーマンス
● 常に安定した料理全体の一貫性

星の基準
1つ星:そのカテゴリーで特に美味しい料理
2つ星:極めて美味であり、遠回りしてでも訪れる価値がある素晴らしい料理
3つ星:その料理を味わうために、旅行する価値がある卓越した料理

調査方法

調査方法は秘密のベールに包まています。しかし、ミシュランガイド総責任者のジャン・リュック・ナレさんが2008年9月4日に渋谷で行われたトークショーでの中で、覆面調査員による調査方法を公表していました。

東京版の覆面調査員については、「外部スタッフではなく、すべて同社の従業員。今回は6人で調査をし、うち4人が日本人」であることを明かしました。調査員は年間に500~600食を食べ、ホテルに100泊し、日々レポート活動を行うそうです。

 

同調査員になる条件として、「(広く一般に)顔が知られていないこと」に続けて、「情熱」「眼力」「レポート能力」の必要性。調査員は、レストランやホテルの従事者を中心にヘッドハンティングやオーディションを行い決定したそうです。

朝日新聞の記事によると、現在は世界中に調査員は約90人。日本にも7人の日本人調査員がいるとのこと。ある店が星を獲得したり失う場合は、必ず複数が覆面調査に入ったうえで協議します。一人の判断で星の増減を決めることはないそうです。

また、覆面調査員であることは他者に口外できません。例外としてパートナーだけには口外してもよいのですが、それは出張が多い調査員は配偶者の協力や理解なくしては、やっていけない仕事だからです。

もはや、スパイとか秘密諜報員の世界に近いものがありますね。

新カテゴリー「ビブグルマン」

最近のミシュランガイドは、以前よりも注目度が落ちていると言われていました。ミシュランガイドによる星を獲得している店は高級店が多く、高級なイメージがあるレストランは、若者を中心に敬遠される傾向があったからです。

そこで登場したのが「ビブグルマン」です。これはミシュラン社のイメージキャラクターである「ムッシュ・ビブグルマン」からネーミングされた新たなカテゴリです。

ビブグルマンは、高級店の路線ではなく、安くても美味しいコストパフォーマンスの高さを評価しています。2014年度版から導入され、安くて美味しいフランス料理・イタリア料理の店も掲載されるようになりました。

「ミシュランガイド2015東京」では、ビブグルマン部門にラーメン店も登場しました。日本料理はもちろん、ラーメン、ちゃんこ鍋、どじょうなど全部で22種類もの和食に該当する料理カテゴリーが掲載され話題となりました。

なんと、「ミシュランガイド京都・大阪2016」では、たこ焼き屋も対象になりました。ミシュランの店は敷居が高いというイメージがどんどん払拭されてきているようです。

日本の食文化は素晴らしい

ミシュランガイドの総責任者のジャン・リュック・ナレ氏は、「世界一の美食の都は他を大きく引き離して東京だ。2番は京都、パリは3番。日本は食べるだけの目的で行く価値がある国だよ」と断言しています。

また、「日本の料理人は、15年も20年も修業して伝統の技を受け継ぐ熱意を持っている。そんな国は、欧州にはどこにも残っていない」とも語っています。ミシュランの星の数を抜きにしても、日本人にとっては誇らしい限りです。

日本の食レポーターのセリフではありませんが、「日本は食のアミューズメント・パークやぁ~」と言っても決して過言ではないと思います。

ちなみに「ミシュランガイド東京2016」の発売日は2015年12月4日、価格は本体3,000円+税(税込3,240円)です。

これから海外に旅立たれる方々へ

この記事を執筆させていただいた事で、私自身も日本の食文化の素晴らしさと、日本人の素晴らしい国民性を改めて再認識することができました。

日本人は本当に素晴らしいです。日本人であることの誇りをもって堂々と世界に羽ばたいて頂きたいと思います。どんどん日本文化、日本の食文化を海外でアピールしてください。

<参考サイト> 
市ヶ谷経済新聞『ミシュラン覆面調査員になる条件は?-年間500食にホテル100泊』
朝日新聞GLOBE『ミシュランという「権力」ブランドはタイヤのために』
グノシー『東京はパリを抜いて世界一の美食の街に!その理由とは?」

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この記事を書いた人

ケン
ケン

日本の大学を卒業後に、フランス、イギリス、アメリカを渡り歩き、気がつけばセブで生活をしている50代半ばのオッサンです。酒とビリヤードを愛する男。セブでは、日本人よりフィリピン人のほうが友達は多いです。ちょい悪オヤジになりきれない、か弱いオヤジ。今までの経験を通して、私らしい情報発信ができれば幸いです。

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