オランダに住む外国人に義務化されている制度「Inburgering」とは?

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2007年より、オランダに定住している外国人に対して「Inburgering」と呼ばれる、市民化に関する制度が義務化されました。Inburgeringではオランダ語の各種スキルをはじめ、6つの試験に合格する必要があります。ここでは、Inburgeringのテストに合格した筆者が、実際に受けた試験の内容についてのご紹介と合わせて、オランダにて語学学校へ通い、Inburgeringに特化した授業を受けてよかった点についてお伝えします。

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Inburgeringとは?

教室の風景

Inburgeringとは、2007年よりオランダに定住している外国人に対して義務化された、市民化に関する制度です。オランダ語の各種スキルを始め、オランダに関する基礎知識などのテストに合格する必要があります。

日本人の場合、取得するビザの内容により異なりますが、筆者が取得したパートナービザの場合、オランダ内での教育関係「DUO」からの手紙が届いてから3年以内に6つの試験に合格する必要があります。

DUOの説明によると、3年以内に合格できなかった場合、1250ユーロ以下の罰金の支払いが必要となり、その後2年間の猶予を受けることができますが、病気などの理由で期限を延期できる条件もあります。詳細はInburgeringのウェブサイトをご参照ください。

Inburgeringの試験内容について

チェックリスト

試験は2015年以降1項目増えています。ここでは実際に筆者が受けた6つの試験についてご紹介します。Inburgeringのウェブサイトでも詳細が確認できます。

1.lezen(リーディング)

リーディングの試験はオランダ語で書かれた文章を読んで質問の答えを選択する試験です。試験はパソコンで行われます。試験会場では最初にやり方の説明があり、その後、試験に臨みます。

2.luisteren(リスニング)

リスニングの試験もパソコンで行われ最初に試験の説明を受けます。ヘッドフォンを使い内容を聴いた後、質問が流れて答えを選択します。

3.schirijveb(ライティング)

ライティングの試験はパソコンを使用しません。試験に関する説明の後に用紙が配られ、答えを記入していきます。

4.spreken(スピーキング)

スピーキングの試験ではリスニング同様ヘッドフォンを使用します。まず試験の説明があり、その後質問を聴きます。答えはヘッドフォンのマイクに録音します。

5.KNM(Kennis Nederlandse Maatschappij:オランダに関する知識)

KNMはオランダの習慣や法律、歴史などオランダについての問題に選択方式で答える試験です。試験はパソコンで行われ、他の試験同様に最初に試験の説明があり、その後試験が始まります。

6.ONA(Oriëntatie op de Nederlandse Arbeidsmarkt:オリエンテーション)

ONAは2015年1月1日以降に受けるのが必須となった試験です。

オランダ語で求められるスキルは「A2」

オランダ語の試験(リーディング、リスニング、ライティング、スピーキング)では、「A2」程度のオランダ語のレベルが求められます。オランダ語のレベルについては、以下のレベルに分類されています。

初級レベル

  • A1:学習を始めたばかりの者・初学者
  • A2:学習を継続中の者・初級者

中級レベル

  • B1:習得しつつある者・中級者
  • B2:実務に対応できる者・準上級者

上級レベル

  • C1:優れた言語運用能力を有する者・上級者
  • C2:母語話者と遜色のない熟練者

ONA(Oriëntatie op de Nederlandse Arbeidsmarkt)とは?

「ONA(Oriëntatie op de Nederlandse Arbeidsmarkt)」とは、直訳すると「オランダの労働市場におけるオリエンテーション」で、この試験ではオランダの仕事のグループ、求人の探し方、ネットワークの大切さ、個人の能力についてなど、オランダの仕事に関する専門的知識も含め学んだ上で内容を理解したかを、提出書類と面接によって問われる試験になります。

ONAでは、上記の5つの試験と異なり、会場に行ってパソコンで試験を受けるのではなく、書類審査の1次試験と面接での2次試験となります。

まずはONAで指定されている書類を作成し全て揃ったのち書類を郵送します。その後、書類審査に合格すると後日手紙で面接の日程が届き面接試験を行います。

書類の作成については、Inburgeringサイト内にあるファイルをダウンロードし、パソコンで記入、もしくはプリントアウト後に手書きで記入を行います。ダウンロードの書類以外にも、オランダの求人、CV(履歴書)、企業に対しての手紙、企業への申し込みフォームのプリントアウト、及び作成が必要となります。

また、日本での最終学歴の証明書も必要で、日本語と英語、それぞれのバージョンを、日本から取り寄せた後、IDWという機関にメールで証明書などを送り、オランダのシステムでの学歴証明書を受け取りました。この作業だけで1ヵ月はかかります。

オランダと日本の教育システムが異なるため、事前に日本語及び英語の卒業証明書及び単位取得証明書の申請をしておくことをおすすめします。筆者の場合、通っていた語学学校にてONAの授業もあり、教科書に記載された説明に沿って、すべての書類を作成しました。

ONAを受ける際の注意点

語学学校で用意されている教科書がない場合でも、書類の質問内容に答えていくことで書類を作成することはできますが、オランダ語での専門用語も多く、提出書類の1から8の書類は、教科書のテーマに沿っているので、教科書があることでよりスムーズに作成できるでしょう。

書類審査が通らない場合、再度書類を送る必要があり、合格できるまで面接には進めません。書類を送る住所、注意事項なども教科書に記載されています。

試験会場について

試験会場は2017年9月の時点で以下の7か所あります。

  • Amsterdam Nieuw-West Amsterdam(アムステルダム・ニーウ・ウェスト)
  • Amsterdam Zuidoost(アムステルダム・ザイドースト)
  • Eindhoven(アイントホーフェン)
  • Maarssen(マールセン)
  • Rijswijk(レイスウェイク)
  • Rotterdam(ロッテルダム)
  • Zwolle(ズヴォレ)

DUOからの手紙によると、試験会場には30分前に着く必要があると書かれており、着いてから受付を行います。受付が開始されるまでは施設内の椅子に座って待つことができます。

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試験の申し込み方法

申し込みについては語学学校から申し込む方法と、自身でオンラインにて申し込む方法があります。筆者は語学学校を通して申し込みをしました。

自身で申し込む場合、inburgeringのサイト内にある「log in to my integration」を選択し、DigDiにログインした後「Aanmelden examen」選択し、試験内容、日程、会場を選択します。

申し込身を完了すると、DUOから日程、時間、会場、注意事項が書かれた手紙が送られてきます。この手紙は当日試験会場へ必ず持参してください。持ち物としては手紙の他に身分証明が必要となります。

語学学校に通うことをおすすめする3つの理由

教科書を持っている人

Inburgeringの概要でも紹介しましたが、筆者の取得したパートナービザの場合、取得後3年以内に試験を受け合格する必要があります。試験に合格できた要因の1つとして語学学校へ通えたことが言えます。

そこで、試験に合格して改めて思う、語学学校に通ってよかったことをお伝えします。

1.勉強に集中できる環境である

学校に通うということは勉強できる時間が確保されているといえます。学校や授業のレベルによって時間は異なるかもしれませんが、学校で勉強できないということはありません。筆者の場合、約1年7か月学校へ通いました(夏・冬その他の休暇を含む)。

学校は費用がかかりますが、筆者自身は、教育関係「DUO」でローンをお願いして試験合格後に返済する方法を選択しました。

金銭的な負担もあり必ずしも学校での勉強が強制ではなく、自身で勉強することもできますが、1週間のうち、2回のレッスンでも勉強する環境が確保されていることで、オランダ語の学習がスムーズになったことに間違いはありません。

特に、プロに学べることは上達の近道と言えます。単語、文法、発音など、自身では正しいと思っていても間違っていることもあり、添削してもらえる環境はともて大切な時間でした。

DUOを利用できる教育機関については、学校を探される際にお確かめください。

2.オランダ語を使う機会が増える

学校では、先生だけではなく、クラスメイトの出会いも重要な出来事でした。特に、オランダ語を通してコミュニケーションをとることは、日常生活では難しいからです。

オランダでは、ほとんどの場所で英語が通じることもあり、自分の行動次第でオランダ語を話さなくても生活ができます。そのような環境の中で学校へ通うと、オランダ語の会話が必須となり、先生も意識していて、オランダ語以外は話しませんでした。

間違えても決して怒られることはなく、先生が正しい文章を伝えてくれました。特に印象的だったのは、間違えたとき、謝ると先生から「どうして謝るの?謝る必要ないわよ」と言われたことです。

最初はオランダ語を間違えることに恐怖を感じてしまい、話すことさえ難しく黙ってしまうこともありましたが、先生の存在が大きく、話したいという気持ちや、より頑張ろうというモチベーションになりました。

実際の授業の内容としても会話が組み込まれているため、より話すことを意識することもできました。

3.Inburgeringの合格に特化した授業を受けることができる

現在はインターネットで情報を得ることができ、動画やサイトを検索すれば、たくさんの練習問題や過去問題や会話などを見ることができますので、自分自身でもInburgeringの試験対策をすることは可能です。

しかし、試験に対しての情報や、過去と現在のオランダの違い、オランダの文化や習慣について、日常生活についてなど、学校ならではの情報があることがわかりました。

学校によって授業内容や情報の量などの差はあり、一概に情報が豊富とはいえません。ですが筆者の通っていた語学学校では、オランダ語の試験の過去問題、2015年1月以降にオランダに来た人が対象の新しい試験について、先生の生活を通しての普段の経験や食事、ニュース、オランダとその他の国の違いなどを話す機会が多くありました。

Inburgeringを受けるという条件の中でクラスが設定されているので、過去問題や試験の説明、合格するために必要なことなど、試験に合った勉強ができたことが成果につながりました。

まとめ

いかがでしたか?オランダ語を学ぶ方やこれからInburgeringを受ける方の参考になれば幸いです。

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この記事を書いた人

Nahoko
Nahoko

はじめまして。現在オランダ人の彼と彼の家族とオランダに住んでいます。趣味は読書、映画鑑賞です。オランダ語と英語を学んでいます。記事を通してオランダのことを多くの方に伝えられたらと思っています。宜しくお願いします。

http://www.naho-blog.com/

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