【弁護士に聞く】留学エージェントのトラブル2~留学エージェント倒産の実例~

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前回の記事では、弁護士の話を元に留学エージェントの支払いに関する“グレー”な部分を紹介しましたが、今回はグレーな部分の実例を紹介します。

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前回の記事『【弁護士に聞く】留学エージェントを使う?それとも自己手配?留学エージェントの実態を探る』では、留学希望者が学校の授業料として支払ったお金を、すぐには学校へ支払わない留学エージェントがあるという実態を紹介しましたが、今回の記事では、それを繰り返した結果、倒産に至った留学エージェントの実例を2つ紹介します。

株式会社ゲートウェイ21(2008年10月倒産)

2008年10月1日、大手留学エージェント『株式会社ゲートウェイ21』が東京地裁に破産手続開始を申し立てました。負債金額は約12億9000万円にのぼり、ゲートウェイ21に申し込みをしていた約1300名の留学生予定者の渡航が不可能となり、すでに渡航していた約1000人の留学生も学校への授業料がゲートウェイ21から全額支払われていなかったため被害を受けました。つまり、2300人もの留学が台無しになりました

被害金額が大きく、お金を支払ったにも関わらず留学できなくなってしまった人が大量に発生したことから、ニュースでも大きく取り上げられました。債権者説明会で当時の社長が、被害者が留学できる見通しも返金できる見通しもないと語り、被害者から糾弾されたニュース映像を記憶している人も多いかもしれません。

大手なのになぜ莫大な負債を抱えて突然、倒産してしまったのか?

ゲートウェイ21は札幌、仙台、名古屋、大阪、広島に支店を設置し、欧米、中国、韓国等のアジア地域を対象として幅広い留学を斡旋しており、留学業界の中では大手でした。

そんな大手の会社がなぜ突然、莫大な負債を抱えて倒産するに至ってしまったのでしょうか?それは、前回の記事でご紹介した通り、自転車操業状態の運営を繰り返していたからです。

年商は28億円。しかし利益は?

1997年に事業を開始したゲートウェイ21は、留学、ワーキングホリデー、ホームステイの仲介では実績があり、倒産する約1年前の2007年の年商は28億4800円ありました。こう見ると大手らしい立派な業績ですが、この金額はあくまで“年商”であることに注意してください。つまり、会社の売上額です。利益はここから会社運営費等の必要経費を差し引いたものになります。

この利益の部分を見てみると、ゲートウェイ21は、会社の立ち上げ当初から破産する2008年まで、営業利益はほとんどの期で赤字だったことが、後の調査により明らかになっています。

預かった学費を会社運営費に回す

半年先、1年先の申込み者から支払われた学校の授業料や滞在費をすぐには学校へ支払いをせず、まずは会社運営費に回す。留学予定者の渡航日が近づいてきたら、ちょうどこの時期にゲートウェイ21に申込みをした別の留学予定者が留学先の学校の授業料・滞在費として支払ったお金を、先の留学生の授業料・滞在費として学校に支払う。

常に安定した数の留学生を獲得できなければ、この歯車はすぐに狂ってしまうことは素人にも分かりますが、ゲートウェイ21はこの運営方法をずっと続けていました。

そんな状態で10年近く営業してきたものの、近年の燃料代高騰による燃料サーチャージの上昇など運営経費が収益を圧迫し、遂には語学学校への支払いが滞るようになってしまったようです。同業他社が増えてきたことで、ゲートウェイ21を通して留学する人が減ったことも考えられます。

株式会社サクシ-オ(2010年7月倒産)

ゲートウェイ21の倒産から僅か2年後の2010年7月5日、ゲートウェイ21とまったく同じ状況により株式会社サクシーオが突然倒産しました。サクシーオも東京、札幌先代、名古屋、大阪、広島の5か所に支店を持つ留学業界では大手の一つでした。

負債総額は約8億円、留学できなくなった留学生は約435人、既に渡航済みで学校や滞在先に全額支払いがされていなかった留学生数は約205人にのぼりました。

ゲートウェイと同じ結末に

2003年に設立してから順調に業績を伸ばし、2008年には年商26億4,000万円を上げていました。しかし先程述べたように、これはあくまで年商なので、実際の会社の利益がどれほどだったのかは定かではありません。2008年以降は景気低迷の影響により留学希望者が減少、業績悪化が続き、大幅な債務超過に転落し、倒産に至りました。

繰り返される大手エージェントの倒産

ゲートウェイ21の突然の倒産は留学業界にとっては大きな衝撃だったはずですが、その教訓が活かされることなく、また新たな被害者を生み出してしまいました。もし留学生が会社に支払った学校の授業料を確実に学校へ支払っていたら、業績の悪化により倒産に追い込まれることはあっても、お金を支払ったのに留学できない被害者はいなかったはずです。

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最後に

現在、日本国内にある留学エージェントの数は、大小含め300社以上あります。全ての留学エージェントが上記2社のような運営を行っているとは限りませんが、それでも自転車操業を行っている留学エージェントは少なからず存在します。そして、日々たくさんの留学エージェントが誕生しては消えています。

留学エージェントを使って留学しようと決めた場合、こうした倒産の被害に遭わないよう、申込み前にしっかり留学エージェントを吟味する必要があります。

留学エージェントが倒産し留学できなくなったという大きな被害の他にも、国民生活センターに寄せられる留学エージェントに関する苦情・相談が近年増加しているそうです。

留学エージェントと個人手配で迷ったら

留学エージェントは手続きを代行してくれる反面、サポート費用や手数料がかかり、留学プランの選択肢が限られます。

無駄なサービスをカットするために、留学エージェントの様々なリスクを理解し、留学やワーホリの下調べをしましょう。

留学エージェント利用を考えている方は「【失敗しないエージェントの選び方】お勧めの留学エージェント14選と注意点を紹介」も参考にしてください。

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留学エージェントと比較したり、自分に合った留学手続きの参考になれば嬉しいです。この記事を読む皆さんが、納得のいく留学とワーホリが叶うことを願っています。

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CooL
CooL

訪問国数44ヶ国、現在スペイン在住。留学・語学学習・海外生活の知識が深まる情報を海外からお届け。

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