改めて考える「国際化」の意味とは?
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在米20年経つと、周囲から多少英語ができるように思われるのか、お子さんがいらっしゃる方から、自分の子供に外国語を学ばせたほうがいいのか質問をされます。その背景に一般的にいう「国際化」があると思うのですが、実はこの言葉、私はあまり好きではありません。その理由とは?
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国際化=英語ができることなのか?
私のようにアメリカに長い間気ままに住んでいる日本人は時折、周囲の方から「私の子供にも英語教育を施したほうがいいのでしょうか?」という質問をいただきます。そして私は必ずそう考える理由を尋ねます。そうすると判を押したように「これからの国際化の時代に」という言葉が続きます。そこで私はさらに尋ねます。
「『国際化』ってなんですか?」
すると、相手の方は一瞬詰まり、嫌そうな顔をされる方もいらっしゃいます。中には「英語が必要な社会です」と述べられる方もおります。そこで、私が
「国際化とは英語を話すように要求されたり、英語が必要になることをいうのですか?」
というと、質問者は下を向き、自身の漠然とした英語への焦りと憧憬にお気づきになられるのです。
これからの時代、本当に英語が必要になるのか?
私自身、これから日本に住んでいても外国語が必要になる局面が増えてくるとは思います。ただしその言語が英語かというとちょっとわからないのです。なぜなら日本に入ってくる外国人が英語話者とは限りませんし、英語圏以外の西洋人でも教育を受けていないと英語を理解するとは限りません。
実際のところ、職種や就業地域によっては英語よりも中国語やタイ語、ポルトガル語の方が役に立つという局面もままあるのではないでしょうか。
zakzak:AI翻訳時代…英語の学習なんて時間のムダ!?
上記の記事でも日本に住むロシア系の記者もAI時代に英語学習が本当に必要になるのか疑問を呈しています。実際、私自身英語をある程度解しますが、nativeではありませんし、現在でも英語の学習を続けています。
また、すでに旅行に役立つデバイスで簡単な日本語を英語に訳してくれる機械は実用化されていますし、アメリカへの旅行では高校で学ぶ程度の英語で十分立ち回ることは可能なのです。
ただし、私のようにアメリカで就職し、現地社会に溶け込んでいきたいと考える人は英語の学習は必須です。いちいち機械に頼ってはいられませんし、外国に住んだ場合、現地語を学ぶという行為そのものが現地人に対する最大の敬意だからです。
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「国際化」という言葉を辞書で見ると
この国際化という言葉ほど毎日新聞を賑わしながら、意味不明瞭な言葉はありません。皆「国際化」「国際化」というのですが、誰一人、この言葉の正確な意味を把握していないのではないでしょうか。
同様に「国際人」という言葉も私はキライです。日本に帰った際、時折母校などで話をさせていただくこともありますが、その際、私は主催者の方に「決して私を『国際人』と紹介しないでください」とお願いする次第です。
試しに辞書を引いてみましょう。オンラインの辞書では
国際的な規模に広がること。「経済が-する」
- Weblio
と説明していますが、これではまったく説得力がありません。そもそも国際の意味も把握できないのですから、どう考えていったらいいのか、私は考えあぐねていました。
私の考える「国際化」とは?
最近になって私はようやく自分の考える国際化の意味を見出すようになってきました。それはどういう意味か。
例えば、ここであなたが脱サラをして、パン屋さんを開業しようとする。その新しく開くパン屋さんには必ず「自分」の趣味や思考、好みなどが反映されるはずです。つまり、自分はモダンなデザインが好きだから白を貴重としたインテリアのお店にしようとか、自分は朝が苦手だから、ここは思い切って深夜営業のパン屋にしようとか、そういった自分の好みや判断、趣味が自分の行動に加味されるはずです。
当然、パン屋ですから、近所のパン屋にどういったパンが売り出されているのか、自分のところではどういった種類のパンを主力に売っていった方がいいのか、などマーケティング方面の情報も収集されることでしょう。
その際、色々な情報が耳に入ってきますが、その取捨選択も「自分」を基準にして判断されるはずです。なぜなら、人間であるがゆえに、自分の心の中に入ってくる情報はどうしても、あるのかないのかよくわからない「自分」という曖昧な判断基準を持ってして、判断せざるを得ないからです。
しかし、もしあなたが海外に留学なり就業していた経験がある場合、一瞬そこで立ち止まるはずです。海外では豚を食さないユダヤ教徒やイスラム教徒もおりますし、アメリカではビーガンといって、卵や牛乳も食さない主義の方もいます。また小麦粉に含まれるグルテンに対してアレルギー疾患の方もいらっしゃいます。
そういった顧客の方に説明文を書いたり、代わりに米粉で代用する必要はないのだろうか。とんかつパンはイスラム教徒には不向きだろうなど、心に様々な思考が訪れることが多くなることでしょう。今まで「自分」の視野だけで判断していたことを、自分の視点だけでは裁量できなくなるのです。
つまり「国際化」とは判断基準である「自分」の広範化、多様化を意味すると私は考えます。当然、判断基準である自分の変貌、変換は避けられませんし、多様な価値観を吸収するためには、外国語の学習は理にかなった方法です。
なぜなら外国語の習得によって今まで話すことのできなかった相手と会話ができるようになり、読める本や情報の幅が広がるからです。そのために、外国語の習得を行うのでしたら、私は賛成です。
しかし、ただ単に皆が英語をやっているからとか、受験のためといった理由では外国語を習得することは難しいでしょう。また、たとえ英語ができるようになったからといって、人生に悩みがなくなるわけでもなく、周囲の人から見たら人が気にしないようなことを気にする変な人に見えるかもしれません。
そこまで考えた上で、親御さんがお子さんに英語教育を施すのでしたら私は何もいいません。ただ、こういった話をすると100%、親御さんたちが沈黙されるので、そこまでの深いお考えはなく相談されているのだろうとお察しします。
まとめ
今回は、私の考える「国際化」の意味について考えてみました。もし読者の方でご自身のお子さんに英語教育を積極的に行うかどうか悩んでいらっしゃる方がいらっしゃたら、参考にしていただけたら幸いです。
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この記事を書いた人
初めまして!日本の大学を卒業した後、米国の大学院に留学し漂流し続けること10数年。今年で米国生活16年目になります。お笑い好きの40男が加齢臭を漂わしながら、ミシガン州デトロイト近郊から海外生活と留学の知恵や経験をお届けします。