愛国的なアメリカ人にとっての国家斉唱と星条旗とは?独立記念日にアメリカの歴史を考える

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この記事を書いている7月4日は、アメリカ合衆国の独立記念日です。正確には、1776年にアメリカ独立宣言が公布されたことを記念する日ですが、アメリカで生活する上で注意しなければいないことのひとつに、アメリカは非常に”patriotic(愛国的)”な国であることがいえましょう。今回は私の実体験を混じえて話を起こしていきます。

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アメリカの歴史

アメリカの歴史を明快に年代を追って学べる本のひとつに、猿谷要著「物語アメリカの歴史」があります。1492年にスペイン人のコロンブスがアメリカ大陸を「発見」し、その際、目指していた大陸をインドと誤解。現地にすでに住んでいた人たちを「インディアン」と呼んだことは日本でもよく知られていますが、実はそれ以前にバイキングがアメリカ大陸に到達していたようです。

また17世紀になると、イギリスがヴァージニアにジョージタウンを、スペインがサンタフェという入植地を作り、ヨーロピアンが移民してきます。そして少し遅れてメイフラワー号が1620年に到着。いくどかの全滅の危機を乗り越え、移民は徐々に増えていきます。アメリカは非常に歴史が浅く、日本では江戸幕府が開かれた頃、ヨーロピアンによって細々と入植が開始されたといって差し支えありません。

メイフラワー号の乗船した人たちとは

この本を読んで発見だったことのひとつに、メイフラワー号でアメリカに入植した人たちことが挙げられます。

私はメイフラワー号の乗員は皆、清教徒(ピューリタン)の人たちで宗教的迫害を避けてイギリスから渡ってきた。よって、現代アメリカではメイフラワー号は信仰の自由の象徴になっていると思っていました。しかし、本著では実際は102名の乗員のうち、ピルグラムは41名、他の連中はどちらかというと貧困を理由に経済的な活路を見出すために、アメリカに渡ってきたといっております。

私にはどちらが本当の理由なのか判断がつきかねますが、歴史を政治的な理由で曲解した可能性はあるかもしれません。

入植当初の生活の様子

とにかく入植当時のヨーロピアンたちが、多くの死者を出しながら入植していったことに間違いはありません。実はアメリカの都市に、昔の家や教会、著名人の住んだ場所を保存したテーマパークが多くあります。デトロイト近郊にもあり、Greenfield Villageといいます。

私も何度もここを訪れましたが、入植当初の家の狭さ、寝具の小ささ、服の小ささに驚きました。現代アメリカの大きな家具、洋服、寝具などに慣れた人には新鮮であるに違いありません。南北戦争時、大統領だったリンカーンが弁護士だった時代、使っていた法廷の椅子などは長身の彼がどうやって座ったのか訝しくなるぐらい小さく素朴なものでしたし、アメリカの経済的台頭は決して一昼夜にして成し遂げられたものではないことが、よくわかりました。

イギリスとの独立戦争

1775年にはイギリス本国と植民地の間で植民地の独立を掛けた独立戦争が始まります。原因はイギリス側の重税にアメリカ植民地側が反発したことです。

面白いエピソードにコーヒーがあります。独立戦争前夜、イギリスはお茶に税金を掛け、植民地への独占的販売権を得るため法律を定めます。この反発から、アメリカではコーヒーが飲まれるようになり、実際、現在でも一般のアメリカのスーパーマーケットに行っても、お茶はティーパックぐらいしかなく、とくに緑茶は一般的に不味いです。日本でお茶好きだった私も渡米後、お茶のあまりの不味さにコーヒー党に転換を余儀なくされました。

歴史が影響するアメリカ人の自己紹介

アメリカ人は移民によって構成された歴史ゆえか、自分の「血」を話したがるのです。

「僕はイギリス系とフランス系が混じってるんだけど・・・」
「私はアフリカ系がメインで、Native American(インディアン)のチェロキーもちょっと・・・」

このように、聞かれてもいないのに、自分のバックグラウンドについて話されるのを私は渡米当初、奇異に感じていました。しかし考えてみると、移民がそれほど歴史上多くはいなかった日本では、誰かに会っても「日本人」に決まっていますから、せいぜい「ご出身(お国)はどちらですか」という会話で終わります。

アメリカ人の場合は、シカゴ出身といっても、どこの馬の骨から分かりません。自然と自分のバックグラウンドを説明するようになるのも頷ける話です。私の場合は「日本人」ですので、わざわざ母親が静岡系で、父親が東北系・・・などと朗々と話すことはありません。

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国歌斉唱と星条旗

私は昨晩、アメリカ人の友人たちと一緒に公園に行ってまいりました。独立記念日に行われる花火大会の鑑賞のためです。スポーツのイベント、選挙の演説大会、卒業式などを含めた大きな催し物では、最初にアメリカの国歌が流されます。日本では卒業式などに「君が代」斉唱をめぐって論議を呼んでいますが、アメリカでは国歌斉唱は論議を呼ぶ話題にはなっていないようです。

星条旗をプレゼントするアメリカ人

また公園の所々に、大きな星条旗がはためいておりました。私が大学院時代、ホームステイプログラムに参加した際、同じプログラムに参加した日本人留学生がこぼしておりました。いわく、クリスマスプレゼントとして、星条旗をホストファミリーからもらったとのこと。本人は困って風呂敷にでもしようかといっておりましたが、現在になって考えてみると、星条旗を他人にプレゼントするという行為に、大きな価値観の違いがあることが見て取れます。

万一、日本で日章旗をお中元に送ったとしたら先方に、「右翼?」と思われかねないですが、アメリカではそれだけ星条旗に誇りを感じている人が多いことの証なのかもしれません。実際、星条旗をモチーフにした水着、Tシャツは多いですし、建国の意識がアメリカ人には深く根付いていると考えてよいでしょう。

なぜ星条旗や国歌斉唱が必要なのか

なぜ、星条旗を目にしたり、国歌を歌わされることが日常において多いのか。アメリカは歴史上、Native American以外、移民で構成された国ですので、選挙や裁判などの物事を決める際、違ったバックグラウンドの人間が自己の価値観、宗教、文化などを主張すると、話がまとまらなくなります。よって、そこで登場するのが合衆国憲法や法律です。

採決のスタンダードを法に委ねる生活をし、スポーツ大会、選挙の集会、卒業式などにおいては参加者全員を起立させ、国歌斉唱し、星条旗に忠誠を誓わせ、参加者を束ねるのです。日常生活でも”Unconstitutional(憲法にそぐわない)”という表現はよく耳にすることと思います。

最後に

今回はアメリカの歴史の始まりをごくごく簡単にご紹介しました。外国の歴史を学ぶことは、その国の人達が日常行っている生活様式の理解の一助になり得ます。留学や駐在をされる前に、滞在先の国の歴史の本を読んでから現地に赴かれると、毎日の生活での楽しさがまたひと味違ってきます。

外国での生活を楽しむコツのひとつに、好奇心があるので、色々な分野の本を読んで置かれると、現地での生活に彩りが添えられることと思います。

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命かげろう
命かげろう

初めまして!日本の大学を卒業した後、米国の大学院に留学し漂流し続けること10数年。今年で米国生活16年目になります。お笑い好きの40男が加齢臭を漂わしながら、ミシガン州デトロイト近郊から海外生活と留学の知恵や経験をお届けします。

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