アメリカでパブリック・スピーキングのクラス「Toastmasters International」に入会した話
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筆者は最近「Toastmasters International(トーストマスターズ・インターナショナル)」という、パブリック・スピーキング(大勢の人前で話すこと)のスキル向上を目的とした団体が主催するクラブに入会しました。世界的に展開するクラブなので、日本の読者の方でもご存知の方が多いかもしれません。今回はアメリカでクラブに入会した筆者の体験談をお伝えします。
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Toastmasters International(トーストマスターズ・インターナショナル)とは?
トーストマスターズ・インターナショナル(Toastmasters International)とは、話し方、パブリック・スピーキング(大勢の人前で話すこと)、リーダーシップ・スキルの上達を目的とする、アメリカ発祥の国際的な非営利教育団体。世界中にトーストマスターズ・インターナショナルに所属する自主運営のグループ「トーストマスターズクラブ(Toastmasters Club)」があり、各自が活動を行っている。
- wikipedia:トーストマスターズ・インターナショナル
入会のきっかけ
私は何度も以前のコラムで書いているように、コメディを趣味にしています。
それはそれで多くの人に会うことができて楽しいのですが、結局コメディクラブに来るお客さんは笑いを求めてやってくるわけでして、別に私の英語力の評価や正確性を批評してくれるわけではありません。
単純に「面白かった」という感想がメインでして、私のことを面白いと思う人だけがパフォーマンス後に声をかけてくれるわけですから、当たり前は当たり前ですが、少々物足りなく思うこともありました。そこで、何かスピーチをメインにした団体に入会し、私の話の批評をしてもらおうと思ったのです。
全米でパブリック・スピーキング(大勢の人前で話すこと)を目的とした団体では恐らくトーストマスターズが一番有名かもしれません。このクラブは全米だけではなく、全世界中にあり、日本にも支部があります。
共通言語は英語で、日本でも英語と日本語のハイブリッドで活動しているところもあれば、英語のみのところもあるようです。とにかく支部の数が多く、全米の主要都市にはもちろん、よっぽどの田舎でない限り、近所に支部がないということはないのが大きな魅力でしょうか。
私も自分の郵便番号をサイトに放り込み、出てきた一番自宅から近くの支部に行ってみました。
Toastmasters International(トーストマスターズ・インターナショナル)ウェブサイト
支部の様子
私の支部は近所の教会で集会を行っていました。サイトの情報によると2週間に1回の割合で集まっているようです。この頻度は各支部によって違い、全ての支部が集会を開催する頻度、場所、時間帯が異なっているので、時間帯によっては主婦が多かったり、学生が多めだったりするようです。
定刻通りに会が始まるとプレゼンを準備してきた人が順番に話をしていきます。一人当たり大体5分から7分程度。すでにコメディアンとして数多くの修羅場(?)をこなしてきた私にとっては長時間ではありませんが、困ったことに参加者のインド系の方の英語が私にはまったく分かりません。
Toastmastersは参加者の性別、人種、宗教、性的嗜好によって差別しないので、参加者に外国人(私もその一人ですが)いることはいいのですが、アクセントに関してもToastmastersは寛容なようです。
その日のスピーチは、一人の方がドナルド・トランプが打ち出した、一部の外国人に対してビザ発給停止に対して憤りのスピーチをしたため、いつもテーマが政治的な重い内容なのかと、面食らいました。私は外国人なため、公的な場では性的、政治的、宗教的な話をしないようにしているのです。
全員のスピーチが終わると、各担当がスピーチにかかった時間、「Ah」や「well」といった言葉を入れた回数、ならびに総評を行います。私はこの総評が欲しいのです。
会が終わった後、皆に感想を求められたので、正直に私は「スタンドアップコメディを趣味にしている。今日の会では非常にトピックが重く、みんなを笑わせていいのか、不安になった。もし笑わせてもいいのなら、この会に参加したい。」
と申し出ると、皆がどうぞ、どうぞと笑うので、私はその日に入会用紙にサインをいたしました。
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入会後、最初のスピーチは「Ice Breaker(自己紹介)」
入会するとテキストブックが送られてきました。どうやら段階を踏んでスピーチの技術を向上できるようプログラムが組んであるようです。最初のスピーチは「Ice Breaker」といい、いわゆる自己紹介です。
自己紹介といっても、ただ単に私の名前、アメリカに来て何年、どこそこで仕事をしているとダラダラ話しても面白くはありません。やはり、あるひとつのエピソードに焦点を当てた方が話がだらけず、盛り上がり、私の人柄も良く伝わるはずです。
私の特徴は、
- 日本人
- なぜかアメリカに留学して来て就職している
- これまたどういうわけか、お笑いに命を懸けている
といったことが挙げられますから、絶対に突っ込まれる点は、なんでコメディをやっているのかということでしょう。
以前の記事、アメリカで芸人をしている日本人が教える!アメリカ人の笑いのツボと鉄板ネタでお伝えしたBreak a Legネタを少し改変し、Break a legを言い間違えて、みんなから怒られたが、コメディをやることによって、自分の間違いを受け入れられるようになった。Toastmastersで自分の話を評価してもらい、スキルの向上に役立てたいという話に仕立て上げ、Ice Breakerを行いました。
スピーチ後の総評
で、総評です。今回の批評担当が驚いた顔で「You are already a great speaker!」と言ってくれたことは正直、嬉しかったです。
どうも後で聞くと、初めてのスピーチの際はアメリカ人でも紙を見ながら下を向くような感じで話す人が多いらしいのですが、コメディアン出身の私は全ての内容を暗記、身振り手振りを交えて話し、時計をチラチラみるだけで話しを締めくくったことが意外だったようです。
実はコメディの世界ではネタは暗記が当たり前で、上手い人になると、観客の反応や笑い声に応じて自分の話す内容を適宜変えていくので、即興要素の少ないToastmastersはコメディアン出身者にとってはそれほど敷居は高くないのです。
ただし、発音に関して、いくつかの単語がはっきりできていなかったようで、指摘されました。これはやはり反省しなければいけない点でして、発音向上の練習をもっとしないといけないということでしょう。
総評も全て私のテキストブックに書き込まれ、それが活動の軌跡となっていくようです。
日米の文化の差を痛感
もし日本在住の方で英語力が伸びないとお悩みの方は、こういったクラブに参加するのもひとつの手かもしれません。日本でもアメリカと同じような様式でやっているかと推測しますが、Toastmastersの要求するスタイルは、日本の土壌にはそぐわないのではないかと思います。
なぜなら、私の大学時代、下を向きながら、ぶつぶつ講義ノートを読み上げる大学教授が数多くおり、こういったスタイルはToastmastersでは一切評価されません。
現に、日本の大学教授が語学研修の授業に参加し、紆余曲折あって10分ほどのプレゼンを行うことになったものの、日本的なスタイルに固執したのか、それとも英語がまずかったのかは分かりませんが、大変な不評で当人は授業をボイコットし、大騒ぎになったことを私は鮮明に覚えています。
また、私の大学時代、米国でPublic Speakingを学んだ教授がそのテクニックを伝えるべく、授業をしておりましたが、なかなか日本の学生にはその目的、必要性が伝わらなかったようです。当時の私も下を見ながら話しましたし、現在とは大違いのスタイルでした。
現在の大学教育においても、お通夜のような授業を行う大学教授が多いのかどうかは、日本の大学を離れ20年近く経つ私の知る由ではありません。しかし、Public Speakingが日本語で適切な訳語がないことを考えてみても、私は日本の文化的土壌にPublic Speakingはそぐわないのではないかと考えています。
会社に入れば今でこそプレゼン能力が重視されつつありますが、ここアメリカでも日本人のやるプレゼンは往々に形式張っており、面白くありません。
聴いている私は内心「お前、ギャグのひとつでもかませや」と思うことも多いのですが、形式を崩したりユーモアを入れて話すと「真面目に話していない」と評価されるかもしれませんので、日本では下を向くのが無難なのかもしれません。
だからこそ、アメリカ流のPublic Speaking術は日本では居場所がないと思うのです。
まとめ
いかがでしたか?日本ではToastmastersにおいても、下を向いて発表を行っているのでしょうか。今度、日本に一時帰国した際、日本のToastmastersに参加してみようかと思います。
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この記事を書いた人
初めまして!日本の大学を卒業した後、米国の大学院に留学し漂流し続けること10数年。今年で米国生活16年目になります。お笑い好きの40男が加齢臭を漂わしながら、ミシガン州デトロイト近郊から海外生活と留学の知恵や経験をお届けします。