アメリカで芸人をしている日本人が教える!アメリカ人の笑いのツボと鉄板ネタ

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私はここ二年ほど、アメリカでの漫才にあたる「Stand Up Comedy」を続けています。アメリカには素人でも参加できるOpen Micという催しを各地でやっており、それに申し込めば誰でも参加できます。いろいろな場所で経験を積むうち、アメリカ人を笑いでノックアウトするコツが掴めてきました。今回は私の定番ネタに関して書いていきます。

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アメリカ人のギャグの要素

私はアメリカでコメディの世界に足を踏み入れて5年ほどになります。当初は日本と違うユーモアのセンスに戸惑ったのですが、徐々にアメリカ人のジョークが下記の3要素に集約されるのではないかなと考えるようになってきました。独断ですが、書き出してみます。

要素1:Sexual(下ネタ)

日本でもアメリカでもそうですが、下ネタはお笑いの大きな要素です。ただし日本と大きく違うのはアメリカ人のコメディアンは自身の性体験を話したり、大声で卑猥な言葉を言ったりする直接的な表現を好む傾向が多いように感じます。

要素2:Racial(人種ネタ)

これは多人種国家アメリカと考えたら仕方のないことかもしれませんが、自身の人種ネタを話したり、他の人種を皮肉ったりする傾向が見受けられます。だれもが、何らかの分類に当てはまるとはいえ、中には痛烈なものもあり、私は笑えなかったりします。

要素3:Sarcastic(皮肉)

これはアメリカで生活をしたことのある人だったら誰も気づくことだと思いますが、アメリカ人はジョークで他人を皮肉ることが多く、本当に他人を馬鹿にしているのではないかと思われるぐらいのこと言いかねません。日本人のお笑い感覚と比較して、非常にドライで眉をしかめることもあるかもしれません。

私は以上の3要素に気づいてから、あえて同じ路線を走らなくてもいいのではないかと考えるようになりました。なぜなら、私はアメリカ人から見て「日本人」ですし、アメリカ人のコメディアンほど英語も上手くなく、英語も非nativeの発音です。逆立ちしても英語を母国語にできない以上、アメリカ人のしているお笑い土俵で勝負することは非常に不利です。

だとしたら、それを逆手にとって、私しかできない笑いを追求した方が目立つはずです。お笑いはステージパフォーマンスですから、結局のところ、お客さんの笑いが多く取れたコメディアンが評価されます。英語ができることは必要条件ですが、絶対ではありません。私はコメディのクラスに通いながら、講師の先生やクラスメートと協議を重ね、下記のネタを作り上げました。

私の定番ネタ:Break a leg

この話は実話です。私がコメディを始めた5年前、最初は同じお笑いでもジャンルの違う「Improv」というお笑いをやっておりました。Improvは通常グループで行われ、その中でゲームをしながら笑いを取るスタイルになります。

その初めての舞台の直前、私の友人たちが続々と声をかけてきてくれました。皆、私が初舞台と知って緊張しまくる私の緊張をほぐすためでしょう、握手を求めてきたり、女の子の中には優しく抱きしめてくれる子もおります。そんな彼らが私にいった言葉は

「Break a leg!」

当初は「Thank you」「Thank you」と笑顔で握手をしていたのですが、舞台直前に「足を折れ」とは変なリクエストです。こっそり調べてみると、こう出てきました。

"Break a leg" is an idiom in theatre used to wish a performer "good luck" in an ironic way. Well-wishers typically say "Break a leg" to actors and musicians before they go on stage to perform. The origin of the phrase remains obscure.

Wikipedia:Break a leg

つまり、劇場でしか使わない俗語で「Good Luck」という意味だそうです。これは俗説にはリンカーンを射殺した犯人が劇場の役者で、リンカーンを射殺後劇場の舞台から飛び降り足を折ったので、転じて役者を励ます言葉になったという背景があるようなのですが、はっきりとはしないようです。

なにはともあれ、私の友人たちが私に足を折ることを期待しているのではなく、温かく励ましてくれていることは分かりました。その言葉をありがたく受け取り、いざパフォーマンス。初めての舞台にしてはうまくいったようです。お客さんは心優しく私たちのパフォーマンスに笑ってくれました。

パフォーマンス後

パフォーマンスが終わり、どっと疲れた私はFacebookをのぞき込みました。すると、そこには当日舞台に来れなかった他のアメリカ人の友人たちが「How did the show go?」と書き込んでいます。そこには、当然「Break a leg!」という書き込みも。初めての舞台で興奮している私は素直に、こう書き込ました。

「I Broke a Leg!」

するとアメリカ人の友人たちは大パニックです。「なに?」「何が起きた?」「舞台から落ちたんか!?」「おまえ、大丈夫か!?」という書き込みが大量にアップロードされていきます。

私は彼らの指示通り「Break a leg」したので、過去形にしたまでだったのですが、アメリカ人には伝わらなかったようです。皆に 「Don’t you know the idiom?」と書き込むと、皆から「おまえ、そのセリフを過去形で書くな!」とか「あのねえ、私たちはそういう風にはいわないの:)」と、あきれた書き込みがなされ、後日随分注意されました。

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外国人であることの強みを活かす

このネタはアメリカ人には絶対に受けるネタとして、私は愛用し続けています。このネタの優れている点は、私のような外国人でしかできないネタであることと、上記に挙げたアメリカ人のやりがちなギャグの要素を持っていない点です。

一回90分のショウでは大体10人ぐらいのコメディアンがパフォーマンスをするのですが、どのコメディアンもSexualでRacialでSarcasticなジョークを展開していくと、観客も食傷気味になります。

そこに日本人の私が突如出て、一切他のコメディアンと違う路線のジョークをしていく。私のネタは外国人から見たアメリカがテーマですから、視点が違い、アメリカ人の観客には新鮮なのです。コメディの世界はネタの面白さが第一ですので、私のような外国人でもやりようによっては勝負できるのが魅力です。

最後に

現在留学している皆さんは日々の生活の中で勘違いをしたり、英語を理解できないことを悔しく思っていらっしゃる方も多いかと思います。

しかし、外国人が外国に住んでいきなりすべてを理解できることはあり得ません。むしろ、自分の誤解や間違いを好意的に受け止め、日記などに書き溜めていかれるといいでしょう。それを面白おかしく脚色しパーティーなどで披露すれば、パーティーの人気者になれること間違いなし。多くのアメリカ人の友人に恵まれることでしょう。

あなたの失敗や間違いは将来の財産になりえるのです。

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この記事を書いた人

命かげろう
命かげろう

初めまして!日本の大学を卒業した後、米国の大学院に留学し漂流し続けること10数年。今年で米国生活16年目になります。お笑い好きの40男が加齢臭を漂わしながら、ミシガン州デトロイト近郊から海外生活と留学の知恵や経験をお届けします。

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