ビザの種類や求人の探し方は?日本人がカナダで仕事をするために必要なこと
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世界中から多くの移民が集まるカナダ。そのカナダで働くとは、一体どういうことなのでしょうか。ここでは必要なビザの種類、ワーホリ、学生の場合、ビザなしの場合、求人の探し方、面接までの流れ、給料、辞めるときやクビなった場合、移住を見越した仕事の探し方、カナダ人の仕事の考え方など、カナダで働くにあたって必要なことをご紹介します。
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カナダで日本人が仕事をするために必要なビザとは?
カナダで働くためには、ビザが必要です。一般的に必要なビザは、就労許可証(ワークパーミット)ですが、これには大きく分けてオープンパーミット(open permit)とクローズドパーミット(closed permit)の2種類があります。
オープンパーミット(open permit)
オープンパーミットとは、勤務先や雇用主に制限のないビザのことで、ビザの有効期間内に転職も可能です。代表的なものにワーキングホリデービザ、フルタイムの大学やカレッジ生であれば卒業後に取得可能のPost-Graduation Work Permitがあります。
クローズドパーミット(closed permit)
クローズドパーミットは、特定の雇用主の元でしか働くことのできないビザで、先に仕事のオファーを受諾することで申請が可能となるビザです。つまり、先に仕事が決まってからでないと申請できません。
場合によっては、これらのワークパーミットが必要でない場合もあるので、詳しくはカナダ移民局のウェブサイトにてチェックするとよいでしょう。
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ワーキングホリデー(ワーホリ)、学生の場合は?
ワーキングホリデービザで入国した場合、ビザの有効期間である最長1年間、自分で選んだ雇用主の元で働く(好きな仕事を探し働く)ことができます。
ただし、ビザに記述の特定された職種や業界での就労が禁止となっているので注意が必要です。多くの場合は、現地の教育機関や医療業界、性的職業などが就労禁止対象となっています。
大学やカレッジなど、高等教育機関(post-secondary institution)でフルタイムとして就学している場合は、有効な就学ビザ(スタディーパーミット)のみで就学先のキャンパス内外を時間制限付き(授業がある期間は上限週20時間、夏休みなどの休暇期間は週30時間以上)で働くことが可能です。
また、ビザの種類に関わらず、働く場合は社会保険番号(Social Insurance Number、略称SIN)が必要となります。SINを取得するには、手持ちの有効なビザとパスポートを持って、最寄りのサービスカナダで申請しましょう。
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ビザなしの場合どうしたらいい?
上記のような就労ビザを持っていない場合、または観光ビザなど就労が許されないビザで入国した場合は、先に仕事のオファー受諾を正式に成立させることで、クローズドパーミットを申請することが可能になります。
クローズドパーミット申請権を得るにはまず、雇用主がLabour Market Impact Assessment(旧Labour Market Opinion)という書類を取得している必要があります。
日系企業のカナダ支店などの中には、日本人の雇用がどうしても必要なことからこのシステムを利用している企業も数多くありましたが、年々、その数も減少しているようです。
理由は、この書類を取得するためには雇用主が費用を払った上で政府へ申請しなければならず、また申請後も認可されるには厳しい審査を経なければならないことから、雇用主にとって多大な負担がかかるためです。
就労ビザがなくても就職活動は自由にできますが、いざ仕事のオファーが出たところで、就労ビザ取得に雇用主が協力してくれるかを確認する必要があるでしょう。
どこで募集している?求人の探し方
求人情報は、主にインターネット上に掲載されています。特に日本人を対象にした求人も存在し、現地の日系コミュニティサイトなどで見つけることができます。代表的なものにe-Maple.netが存在しますが、各都市のコミュニティ情報誌やウェブサイトにも求人は掲載されているので随時チェックするとよいでしょう。
また、日系企業にフォーカスした人材派遣会社も存在し、登録すると有料で自分のプロフィールに合った仕事を紹介、斡旋してくれるサービスがあります。このサービスは、主に日本で社会人経験がある人に有効とされており、代表的な会社にPasonaやPan-Pacific Personnelがあります。
勤務先を日系にこだわらない場合は、職業サーチエンジンウェブサイトやcraigslistなどのクラシファイドサイトで検索します。職業サーチエンジンウェブサイトは、キャリアを見据えた仕事(通称:real job)の求人が主に掲載されており、カナダ政府が運営するものではJob Bank、私営のものではmonster.caやworkopolisなどが代表的です。
その他に多用されるサイトとして、kijijiやindeedがあります。またカナダでは、人脈をたどって就職に辿りつくことも多々あります。常々から周りに自分が仕事を探していることをアピールしておくと、人伝いに仕事を紹介してもらえる機会が増えるので、人脈は大切にしましょう。
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面接までの流れは?
求人広告への応募方法は、Eメールでレジュメとカバーレターを送付する場合がほとんどです。
まずは、自分の最新の経歴を記載したレジュメ(履歴書)を作成しましょう。北米のレジュメには特に決まったフォーマットはありませんが、自分の名前と連絡先、最終学歴、応募職種に関連した職歴や資格・スキルを時系列に記載したものをワードかPDFファイルで作成することが一般的です。
ちなみに、北米では生年月日や性別、写真を掲載することはタブーとされているので、これらは記載しません。カバーレターには、なぜ自分が志望職種に相応しい人間かということを文章で存分にアピールします。
レジュメとカバーレターの出来栄え次第で面接に漕ぎ着けるかが左右されるので、スペルミスや応募要項に見合ったスキルがきちんと記されているかを念入りにチェックします。
書式についてはインターネットで検索したり「Resume Magic」という本などを参考にしましょう。うまく作成する自信がない場合はプロに発注するのも手段の一つです。
レジュメ等を送付後、無事、書類審査を突破すると、面接の連絡があります。面接にはスーツなどのフォーマルな服装が無難ですが、レストランなどのカジュアルな職場であれば、スマートカジュアル程度でも良いと思います。
電話面接の場合は、騒音がなく会話に集中できる環境で、相槌などを多用してお互いの会話がスムーズに進むように努めましょう。
面接は、1次で終わる場合もあれば3次ほどまで過程を経る場合もあります。多くの場合、面接時に採用通知がいつ頃になるかが告知され、採用された場合には必ず連絡があります。採用通知連絡予定日を大幅に過ぎても連絡がない場合は、残念ながら不採用だと考えられるでしょう。
あったらいい資格は?
応募する職種や業界によって有利となる資格やスキルは大きく異なりますが、どの職種にも共通して有益となる資格として運転免許証があります。カナダでは公共交通機関が日本ほど発達しておらず、職場が公共交通機関ではアクセスできない場所にあったり、業務内容によってはかなりの遠距離を往来する場合もあるので、運転できることで選択肢が広がります。
もう一つ、どの職種にも有効と言えるスキルとしては、フランス語があります。カナダの公用語は英語とフランス語ですが、多くの英語圏の州ではフランス語話者が不足していることが多く、バイリンガルポジションといって英語とフランス語の両語を操ることのできる人材の需要が特に高いです。ただし、ビジネスレベル以上のフランス語力が必要です。
レストラン業界では、店内でアルコール類を販売することができる資格があると有利です。各州で資格名が異なります(例:Smart Serve(オンタリオ)、Serving It Right(ブリティッシュ・コロンビア)、ProServe(アルバータ)等。)。各州で求められる資格名についてはBARTENDER TRAINING.CAというウェブサイトで詳細を確認できます。
取得が簡単な上、アルコール類を販売できるとチップの額が増えることが多いため、レストランで働くことを考えている場合はとりあえず取得しておくことをおすすめします。
語学留学ビジネス業界では、日本語の他に韓国語、中国語、スペイン語、ブラジルポルトガル語、またはアラビア語が話せると優遇されることがあります。また、事務業でよく求められるスキルとしては、日英翻訳能力と敬語等のビジネス日本語が挙げられます。日系企業では、特に正しい敬語やビジネス日本語の使い方が問われることも多いので、英語やフランス語一辺倒にならないことも大切です。
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給料はどのくらい?
カナダは州によって、最低賃金が異なります。最低賃金(時給)はRetail Council of Canadaのウェブサイトで確認できます。
ちなみに、最低賃金は職種によっても異なるので気になる場合は、各州政府のウェブサイトでチェックするとよいでしょう。特にアルコールを扱うレストランでのウェイター(server)はチップが発生するため、上記の最低賃金より若干低く設定されています。
同じ職種でも都市や地域によって相場額が異なりますが、全国的な平均を述べるとレストラン勤務(職種問わず)であれば時給11ドル〜15ドル前後、事務職であれば時給15ドル〜20ドル前後が相場と考えられます。
相場額は求人広告を数多く目にすることで大体把握することもできますが、カナダ政府運営のJob Bankで調べることも可能なので、事前に調べておくことが賢明です。
正社員の場合は賃金は年収で計算され、その職種の経験が豊富であればあるほど受給額が高くなります。一般的に未経験の新入社員であれば年収25,000ドル前後からスタートし、経験や昇進、職場によって年収が45,000〜50,000ドル前後になることが平均的な収入と言えます。
ちなみに北米では一つの職場に長く務めるよりも、キャリアアップを目指して転職を幾度か繰り返すことが多く、特に給与面においては転職先でより良い待遇を得るケースが多いと言われています。
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辞めるときはどうしたらいい?
都合により退職する場合は、原則的には退職日の2週間前に上司にその旨をメールや手紙などの書式で伝えることが決まりとなっていますが、退職が決定したらできるだけ早く上司に伝えることが望ましいです。
例えば、転職する場合に次の職が1週間後にスタートしてしまう場合などは、その事実がわかり次第、上司に伝えることが礼儀です。仕事を辞める際に必要なものは特にありませんが、勤務先によっては従うべき手続きがあるのでそれに従います。
また、上司や同僚にこれまでの感謝の意を伝えて去ることで円満に退社を迎えることができます。留意すべき点として、自分の意思で退職した場合には失業保険は適応されません。退職をする際にはその後の職や収入を考えた上で、行動に移しましょう。
クビになったらどうする?
残念ながら解雇されてしまった場合、失業保険(Employment Insurance、略称EI)がもらえる可能性があります。
解雇の結果として退職した場合には、とりあえず、すぐに失業保険を申請しましょう。申請は政府のウェブサイト(カナダ政府ウェブサイト EI申請詳細ページ)上より可能です。
また申請するに当たって、退職する前に雇用主にROE(Record of Employment)が発行されることを確認しましょう。ROEは、自分の雇用と解雇を正式に証明する書類であり、失業保険を受給する際に重要視されます。ただし、ROEは正式に雇用された場合にのみ発行されるので、雇用形態がself-employed(自営業者)である場合は発行されません。
カナダでは、勤務先に直接採用されたからと言って、必ずしも雇用形態が正式(正社員)扱いになるとは限らないので気をつけなければなりません。自分が正式に雇用されているかどうかは、雇用主に直接確認することが望ましいですが、一般的に、源泉徴収書(T4)が発行されない場合はself-employed扱いとなります。
しかしながら、self-employedであっても前年度に確定申告(income tax report)をしている場合には、別の方法で失業保険受給対象になる場合があります。詳しくは政府のサイトを参照されることをおすすめします。
また解雇の理由が見当たらない、不当であると感じた場合、または失業保険が受給できるかどうか不安な場合は、コミュニティなどが運営する最寄りの慈善法的サービス機関(Legal Aid や Community Legal Clinic)に相談することもできるので、大いに利用しましょう。
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移住を見越して仕事を探すには?
カナダ永住権を申請、取得するために仕事を探す際は、雇用主がLabour Market Impact Assessment(略称LMIA)取得に協力してくれるかが大きなカギを握ります。
このLMIAは、カナダ人の雇用を優先した上で、それでも外国人労働者の採用が必要であることを示す書類で、移民をする際にはこの書類によって、自分がカナダ経済に貢献できる人材、つまり永住権を取得するのに相応しい人材であることを証明できる大きなポイントとなります。
しかし、雇用主がLMIA取得に協力してくれない場合であっても、永住権の申請ができる可能性はあります。カナダ国内の職業はNOC(Canadian National Occupational Classification)と呼ばれる職種コードで管轄されており、従事する仕事内容や職種がNOCのO(管理職)、AもしくはBのカテゴリにある場合は移民に有利だとされています。
ただ、カナダの移民法は景気や政治情勢に多分に影響されるため、永住権取得に向けて仕事探しをする際には、カナダ移民局公認の移民コンサルタントを利用するか、カナダ移民局のホームページを随時チェックすることをおすすめします。
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カナダ人の仕事の考え方とは?
カナダ人は、仕事そのものよりもプライベートや家族と過ごす時間を重んじるため、仕事は勤務時間内にしか行わないという考えの人が多く、残業などはあまり好みません。
勤務時間内にできることをするというスタンスの人が多いため、仕事の完成度が多少低くなったり、締め切りを過ぎてしまうことになってもあまり重大視されません。
また、社内ではチームワークが重視され、社交性があり、どのような環境下でもうまく人間関係を保つことができる人は重宝されます。そのため、自分の考えを相手に正しく伝えることのできるコミュニケーション能力が高い人が好まれます。
しかし、任務遂行に当たっては、日本のように画一化されていなかったり、形式上決まったやり方などがあっても守られておらず各々が独自で判断を下していることが多いため、仕事のやり方には個人差が大きく見られます。自分の管轄外の任務には全く関心を示さなかったり、同じ状況下でも対処する人によって対応が全く違ったりと、結果として効率が悪くなることもしばしば。
そのような中で上手に働くためには、いかに独自の判断を以て、社員と上手くコミュニケーションを交わし、共に円滑に作業を進めていけるかが最も問われます。これには交渉能力も含まれ、上司が相手と言えども妥当と思われる給与を自ら願い出たり、任務内容や条件によっては断るなど、自分の意見をハッキリかつ丁重に主張できる人の方がストレスなく上手に働くことができるといえます。
文化の違いはありますが、どのような職場であれ一所懸命に働く人は好まれるでしょう。
まとめ
以上、カナダで働くために必要な情報の紹介でした。就労ビザ保持者や大学生、カレッジ生にとっては、働きやすい環境ともいえるカナダ。しかし、各州によって、労働基準法や最低賃金、失業保険受給率などが異なるため、働く環境も大きく違ってきます。
まずは、自分が合法的に労働可能であるかを把握した上で、自分が働く州、地域について下調べを行い、仕事を探すと良いでしょう。また、仕事を探す際や実際の職場では、人とのつながりを大切にすることで、現職場だけでなく将来の勤務先からも望まれる人材になるでしょう。
仕事を辞めることになった際には、雇用主への礼儀と感謝を以て対処することが円満な退社につながります。外国人労働者だからといって、萎縮してしまうのではなく、自分の権利や主張を尊重した上で、相手も尊重することがカナダで上手に働くということなのではないでしょうか。
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この記事を書いた人
トロント在歴13年目を迎える文化と言語とお笑いが大好きな関西人。ヨーク大学言語学部卒。TESOL・CILISATを取得し、語学学校カウンセラーやESL講師、日英通訳などを経て、現在、日本語教師&フリーライターなどをしている。