【大学留学マニュアル】海外の大学を好成績で卒業する勉強法 <実際のノート公開付き>

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留学生というステータスに関わらず、大学では学んだ知識をいかに確実に物にし、適用していくことができるかが大事です。筆者が在学中に身に着けたスキルは優良な成績に貢献しただけでなく、卒業後に就職した現在職場でも非常に有用です。筆者の大学生時代を振り返りながら、その身に着けたスキルと勉強方法を紹介します。

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大学で必要な6つのスキル

私は、2004年~2010年までの間(内1年休学)をトロントにあるヨーク大学で学びました。移民が多い都市にありカナダで3番目に学生数が多いと言われるヨーク大学では、世界約160か国近くから留学生を受け付けており、留学生だからと言って情けをかけてくれるということもありません。(注:ESLなどのサポートはあります。)

そうした環境の中で学んだことは、英語が上手く扱えるからと言って必ずしも良い成績を得られるわけではないことです。大学での勉強や生活に必要なスキルというものが別にあることを知り、体得していくことになりました。

では、一体、大学の勉強で必要なスキルとは何でしょうか? それは、以下の6つです。(※あくまで、筆者の持論です。)

1.Active Listening (アクティブ・リスニング)
2.Note Taking(ノート・テイキング)
3.Reading(リーディング)
4.Writing(ライティング)
5.Organization(整理・整頓)
6.Time Management(時間管理)

アクティブ・リスニング

「アクティブ・リスニング」は、積極的に集中して「聴く」ことを言います。神経を研ぎ澄ませて相手の言うことを理解しようとする姿勢です。このスキルを持っているかどうかで、授業の吸収度が大きく変わってきます。授業を理解する上で必要不可欠なスキルと言えます。

ノート・テイキング

ここでの「ノートを取る」という行為は単なる視写や記録ではなく、「アクティブ・リスニングを行い内容を理解した上で、要点のみを書き留める」という作業です。筆者流では、このスキルには2段階あり、

1)「聴く」ことが主体で「ノートを取る」:聴いた内容を忘れないように補佐・メモする作業
2)理解したことをいつ見ても分かりやすいようにまとめる

という作業に分かれます。

リーディング

いわゆる「読解」能力です。英語が第一言語でない留学生にとっては、ここで英語が障壁になることが多々ありますが、目的を持って読むことに慣れていくうちに読解能力だけでなく、ライティングスキルも向上します。好成績を狙うためには、多少の忍耐が問われるスキルです。

ライティング

エッセイやレポートなどを書く技術です。書式や文法、表現力など、カナダ人生徒にとっても難関のスキルです。今回の記事では、授業の理解や予習・復習に役立つ勉強法に焦点を絞っているので、このスキルについてはまた別の機会に紹介します。

整理・整頓

書き貯めたノートや配布プリントなどを整理し、必要なときに手際よく取り出して見ることができるように保管するスキルです。部屋が片付くだけでなく、同時進行のコース内容を把握したり、テスト勉強やエッセイの参考として引用したりする際にこの隠れたスキルが大活躍します。

時間管理

アルバイトや課外活動など授業以外の自分の生活全般をうまくやりくりしながら、学習時間を捻出し実行するスキルです。大学生活を送る上で最も大切なスキルと言っても過言ではありません。

私はこれらのスキルを軸にA+やAなどの成績を取得しました。大学卒業後もさまざまなコースで優秀な成績を収めることができた他、職場でも仕事を効率よく進めるのに大変役に立っています。

以上のスキルを踏まえた上で、私が実際にどのように勉強していたかを予習、授業中、復習の3つの状況に合わせて紹介していきます。

予習のテクニック

必要スキル:リーディング

忙しい学生にとって、予習の時間を捻出することは難しいです。正直なところ、私もアルバイトや課外活動に追われ睡眠時間が平均約4時間というハードな生活だった為、予習はなかなかできませんでした。しかし、課題のリーディングが唯一私にとっての予習でした。

授業の前日までに課されているリーディングをこなしておくことは、参加型の授業の場合は特に重要です。課題リーディングの内容を基にディスカッションをおこなうことも多く、リーディングができていなければこの授業についていけなくなります。膨大に課されるリーディングの山を乗り越えるために、私が実際に使っていたリーディングのテクニックをご紹介します。

リーディングのテクニック

課題リーディングページに付箋を貼る

一目でそのページに辿りつけるように、付箋を貼る。貼った付箋に読了期限を書いておくと、他のリーディング課題があった際にとどれを優先順位にすべきかの基準になる。

読了期日を書いた付箋

読了期日を書いた付箋

プリントの場合は、読了後に「done(読了)」と上書きして整理しやすくする

プリントの場合は、読了後に「done(読了)」と上書きして整理しやすくする

要点にマーカーを引く

「ここは大事!」と思った部分には、蛍光ペンで文章をハイライト。リサーチペーパーやテスト勉強で参考・引用する際にこの要点に立ち戻りやすくなる。筆者のハイライト方法はさらに2種類に分けられる。この方法で見返すことがあった際には、情報を選り分けていた。

全引き

1.全引き:最重要ポイント。授業やコンセプトの理解の柱となるポイント。「外せない」箇所。

下線引き

2.下線引き:副重要ポイント。個人的に大切だと思った箇所が主。

わからない語彙は即調べる

「わからない語彙を後回しにして読み進めたが結局内容が理解できない」ということを防ぐための策。問題を即解決することで結果的に時間短縮にもつながる。また単語を調べる際には、その単語が使われているコンテキスト(状況・場面)を把握することも大事なので、こうすることで的確に適切な意味を引き出せる。個人的には、大学レベルのリーディングでわからない単語に線を引くことは×。後で見返す際に、読みにくくなる

リーディングのアドバイス

リーディングを克服するために語彙を増やすことは確かに大切ですが、大量の読み物を読み漁り、何度も何度も同じ単語を調べることで自然と語彙も増えます。私自身、大学初めの2年程は語彙が少ないためリーディングがなかなか進まず、自分の不甲斐なさに腹が立つこともしょっちゅうでしたが、量をこなしていくうちに語彙も増え、読むスピードも上がり、更にはライティングの際に自然と書き言葉が使えるようになりました。

リーディングで、もどかしい想いをされている方は焦らず、今が正念場だと思って耐え忍んでください。自分ではなかなか気づかないかもしれませんが、少しずつ進歩しているはずです。自分を信じて前に進み続けてください。

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授業中に必要なテクニック

必要スキル:アクティブ・リスニング、ノート・テイキング

私の授業参加のモットーは、徹底して「聴き」、ノートは要点を「簡潔」にまとめること。あくまでアクティブ・リスニングが主役で、ノート・テイキングはその補佐的な役割です。そのため、私の授業用ノートはまるで落書きかのような殴り書き・・・。それでもいいんです、自分で読み返してわかりさえすれば。ここで両スキルにおいて私が心がけていたことを幾つかご紹介します。

アクティブ・リスニングのテクニック

教室の最前列を陣取る

視界に話者以外が入らないようにするための得策。障害を減らせば減らす程、聴くことに集中できる。また前列は、比較的成績優秀な生徒が集まるため、授業中の私語も聞こえない。つまりは、聴くための環境整備。

音声レコーダーはつかわない

音声レコーダーを使ってしまうと「後で聴き直せばいいや」と思い集中力が落ちてしまうため、個人的には×。「今、ここでしか聴くことができない」という制限が授業に対する緊張感と集中力を高めてくれる。

話者へ全神経を傾けて話を聴く

上の「音声レコーダーはつかわない」と重なるが、全神経を傾けて集中して聴くと、授業の吸収度・理解度が高まる。集中力をあなどることなかれ。

ケータイは電源を切っておくか、サイレントモードにする

バイブレーションモードだと、振動が気になって集中力が途切れるので、全く刺激がない状態にするのがベスト。また目に見えない場所にケータイを隠しておくことで、雑念も消える。

疑問はその場で解決する

やはり「問題の即解決=時間短縮」。疑問が解決しなければ、ノートを取っても後で見返した際に理解につながらず、自分が苦労するだけ。ならば勇気を振り絞って、自分自身の理解のために、質問をすることが最善。

アクティブ・リスニングのアドバイス

個人的には、パソコンの使用も×です。理由はケータイと同じく、何かとアプリからの通知やエラーメッセージ、アップデートのための再起動など、思わぬ状態に集中力を削がれてしまいうからです。大学での講義は、休憩を挟むことがあっても3時間と長丁場であることも多々。その長時間をいかに燃費良く集中していられるかが、授業理解へのカギになると私は思っています。

疲労などによりどうしても集中力が続かないときは、ノートに落書きをしたりするなどして何か行動を起こしてみましょう。行動を起こすことによって、脳に刺激が走り、もう一度集中力を呼び覚ますきっかけになったりします。

また、質問をすることは北米社会において「良い行為」と認識されており、教授からも授業に関連した質問ができる生徒は好印象を抱いてもらえます。どうしても質問が憚られてしまう場合は、ノートの隅などに疑問点を書いて授業の後に質問しましょう。

どうしても授業時間内に疑問点が解決しない場合は、教授のオフィスアワーを利用することも可能です。オフィスアワーでは、教授と一対一で時間が許す限り話をすることができるので、個人的にも教授と仲良くなるきっかけにもなります。

ノート・テイキングのテクニック1

ノートを取る日の日付とコース名を書く

ノート

その日の日付とコース名の明記は、後述の「整理・整頓」スキルにつながる大切な情報。同日内に数種のコースを履修したり、同じコースでも週2回参加することも一般的なので、日付を書くことで混乱を防止する。

話されている言語でノートを取る

これはあくまで筆者の自己戒律。理由は、脳内で英語を日本語に変換する作業は脳に余分な負担がかかり、アクティブ・リスニングへの集中力が低下する恐れがあることと、できうる限りの英語思考回路を構築するための努力。考え方を変えれば、ディクテーションでもあるので、英語力(リスニング能力)が伸びると言える。

手で書く

単に筆者が手で書くことが好きという他に、科学的見解として「より多くの感覚を使用して覚えたものはより記憶されやすい」というものに則っている。また、パソコンのデザイン規制やエラーなどに煩わされることを嫌った結果でもある。

要点のみを書く

その場で授業は一部始終聴いているので、取捨選択して大事な情報のみを書き留め、話すスピードに対応していくことが最優先事項。何が大事か分からない場合は授業を理解していない恐れあり。大事な点は通常より大きめの声で強調して説明されたり、板書やスライドに書き留められているので、それを参考にすると良い。

記号を使う

スピードが命なので、文章ではなく、単語やフレーズ、略語や記号を使う。例えば以下のように使用する。

「This species does not exist anymore.」→「No more XX species」
「people」→「ppl」
「management」→「mngmt」
「at」→「@」

これらでノートを取るスピードを上げることができる。

ノート・テイキングのアドバイス1

ノートはスピーディーに取れるように、ページ数を余分に用意したり、手元にすぐ引き出せるようにしておくことも肝心。私が在学当初は生徒でノートパソコンやケータイを持っている人自体が少なかったので議論にも上がりませんでしたが(笑)、今では授業によってはケータイのカメラ機能で板書やスライドを撮影することは禁止されていることもあります。(著作権の問題です。)

ノートを取るという行為は、自分の頭で考えながら書くという行為なので、より理解が深まり、記憶にも長く留まるとも言われています。「手書きよりもノートパソコンでタイプした方が速」く、文字を読むだけで覚えられるタイプの人は、タイプでノートを取っても理解や記憶につながるかもしれませんが、私のような絵やグラフなどビジュアルに訴えるノートでないと覚えにくいタイプの人は、手書きをオススメします。

復習に必要なテクニック

必要スキル:ノート・テイキング(+クリティカル・シンキング)、整理・整頓、時間管理

 

個人的には、復習は学習の要でした。実際に授業で聴いてきたことを「消化」して、更に理解を深め、また記憶に留める作業だからです。帰宅後、ゆっくりしたい気持ちもわかりますが、耳で聴いた記憶がまだ頭に残っているうちにノートを清書し、整理・整頓することが大切です。

では、復習時に必要なスキルを使っての勉強方法をご紹介します。

ノート・テイキングのテクニック2

ノートを清書する

走り書き状態のノートを、今度はできれば誰が見ても分かりやすい状態にまとめる。この段階では、クリティカル・シンキング*と呼ばれるスキルが必要になる。

クリティカル・シンキングとは「なぜ、そうなるのか?」「これは本当に正しいのか?」など、既定・既存の物や考えに対し、批判的なアプローチを取ること。つまり、言われたことをただ鵜呑みにするのではなく、「自分の頭で考え、判断する」こと。 

  

清書の際には、授業での記憶を辿った上でノートの内容を更に取捨選択したり、言葉足らず(単語やフレーズで書き留めたもの)なものを文章に書き起こしたりする。2度手間なようだが、この行為をすることで記憶力が圧倒的に伸びる。(科学的にも2度同じことを繰り返すとより記憶に長く留まることが検証されている。)

グラフやチャートを活用する

グラフ

コンセプトや仕組みなどで、図化した方がわかりやすいものはグラフやチャートにしてまとめる。グラフやチャートの描き方を考えることで理解も深まり、また頭の中も整理される。

カラフルにする

カラフル

要点でも種類別に分けるタイプの場合は、カラーペンなどを使って色を分けると、より見やすく、理解しやすくもなる。

ノート・テイキングのアドバイス2

ノートはできるだけルーズリーフタイプをオススメします。清書の際に考えがまとまらなかったりして書くときに失敗しても、新しいページに書き直せることから、ページが飛ぶことなく整理できます。またルーズリーフだと、配布プリントもノートと一緒にバインダーに綴じることができます。

整理・整頓のテクニック

履修中バインダーと修了後バインダーを用意する

履修中のコースのバインダーは、下書きノート、清書ノートと配布物を綴じ、授業にも持参する。そうすることで、休憩時間や通学中などの隙間時間でも復習ができる。コースを履修し終えたら、全てのノートを別のバインダー(修了後バインダー)に移し替える。つまり、履修中コースのバインダーは常に1冊。修了後バインダーが年数と共に増える。

タブ機能を活用する

タブ

履修中バインダーを使用するときは、タブ機能を活用すると良い。タブを履修中の各コースの表紙に当てることで、しおりや付箋のように復習などのときに一目でそのコースのページを開くことができる。

教科・コース別にバインダーを使い分ける

バインダー

専攻科目の同じ教科で、初級・中級・上級コースが存在する場合は、全コース同じバインダーに綴じると履修内容に流れができるため、上級コース履修時に復習する際に役に立つ。選択科目や必修科目などはそれぞれ自分にとって分かりやすいカテゴリ別にバインダーを作ると◎。また、バインダーにはそれぞれ背表紙などのレーベルをつけることを忘れずに。

整理・整頓のアドバイス

整理・整頓はなかなか面倒な上、時間も取られるのであまり乗り気でない人も多いかもしれませんが、実践することで「自分はこの授業にきちんとついていっている」という実感が生まれ、自信にもつながります。この一手間をかけておくことで、部屋が片付いただけでなく、怒涛の大学生活を自分のコントロール範囲内に収めることにつながったと私は自負しています。

時間管理のテクニック

1週間の予定表を作る

履修するコースが決まれば7日間の予定表を作り、起床から就寝までできるだけ細かく記入する。そうすることで規則正しい生活を送り、時間をコントロールすることが目的。また表にすることで時間間隔が視覚化され、今、何をすべき時間かということが意識に残りやすい。自習の時間をたっぷり取った後は、緩急をつけるためにもリラックス時間を設けることも忘れずに。

予定表

写真はあくまで筆者のサンプルです。大学生活を送っている人は、授業や勉強の時間を書き入れることを忘れずに。

予定表を目につくところに貼る

冷蔵庫の扉、勉強机の真正面にある壁、トイレのドアなど、日常生活で必ず見るところ、気づきやすいところに貼り出しておく。常に目にすることで意識下に予定が刷り込まれていく。

パソコンやケータイの機能を活用する

パソコンやケータイのカレンダー機能によっては、数十分刻みで予定を保存し、リマインダーとしてアラームが作動するものもある。これを活用しない手はない。忘れっぽい人には特にオススメ。

時間管理のアドバイス

人生とは予想外の出来事が頻繁に起こるもの。それは自分で制御できないだけに、あれこれ悔やんでも仕方がありません。ストレスから身を守るためにも、予定表を作るときはそれぞれの作業に±30分程度の余裕を持たせておくと良いでしょう。また予定表はあくまでガイドラインであって、その通りに生活を送らなければいけないわけではありません。心と時間に多少の余裕を持つことで、思い通りに行かなかったときのイライラ度を緩和することができます。

完璧ではなく80%を目指す姿勢を

一つ、留学生の皆さんに加えて伝えたいことは、「勉強でも何でも完璧ではなく80%を目指す程度で良い」ということです。複数のコースを同時進行で履修すると、どうしても全コースに全力を注ぐ時間や労力に制限が生まれてしまいますよね。その上、自分の生活もあるのですから、全てに全力投球をし続けていては、いつか自分自身が(体力なり気力なり)破綻しかないことだってあると思うのです。

大学の成績も80%以上であれば、Aを取ることができます。全てを完璧にこなそうとせず、80%の完成度を目指しながら自分のベストを尽くし続けることで、あなたの生活をより楽しく、有意義なものにできるのではないでしょうか。

最後に

以上、筆者が海外の大学に在学していた時に実践していた勉強方法をご紹介しました。一つでも参考になりそうなものがあれば幸いです。海外でのカレッジ、大学、留学生活、負けずに頑張って下さいね!

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この記事を書いた人

まつい ぞりこん
まつい ぞりこん

トロント在歴13年目を迎える文化と言語とお笑いが大好きな関西人。ヨーク大学言語学部卒。TESOL・CILISATを取得し、語学学校カウンセラーやESL講師、日英通訳などを経て、現在、日本語教師&フリーライターなどをしている。

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