同じテーブルマナーでも違う?フランス流とイギリス流のテーブルマナーの違い
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私は大学卒業後に3年間フランスのギャラリーで働いた後、イギリスのギャラリーに転職しました。私自身は完璧にフランス流のテーブルマナーを身に着けていたつもりだったのですが、イギリスでは「なんですか!それは!」と言われる始末。英国ではフランス流マナーが通用しなかったのです。実は日本では英国流とフランス流のテーブルマナーが、ごちゃ混ぜになっています。私の過去の経験からフランスとイギリスの伝統的なテーブルマナーを解説します。
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私はフランスで仕事を始める前に、大学時代に付き合っていたフランス人からテーブルマナーをご教授してもらい、万全な体制でフランスに赴きました。その甲斐もあり、フランスでは特に大きな粗相もなく過ごすことができました。
その後、イギリスで仕事をしたのですが、フランス流のテーブルマナーが通じないのです。「はしたないですよ」とかダメ出しの連続でした。共通したマナーもあるのですが、まったく所変わればなんとやらです。
フォークを持つ手
フランスとイギリスでは、フォークを持つ手にマナーの違いがあります。
フランス式
左手にフォーク、右手にナイフを持ってステーキをカットしたとします。カット後に、ナイフをお皿の上方に置き、フォークを右手に持ち替えて肉を刺して食べる。これはフランス流の正式な食べ方です。
イギリス式
日本でもフォークを右手に持ち替えずに、ライスをフォークの背に乗せて食べる方がいらっしゃいます。これは正式なイギリス流のマナーなのです。英国では、はしたない行為ではありません。最後まで、左手にはフォーク、右手にはナイフです。
フォークの使い方
フォークで刺しづらい食べ物の場合、フォークの背に乗せるか、腹に乗せるかの違いがあります。
フランス式
フォークの腹に乗せて食べます。
イギリス式
上流階級のイギリス人は、フォークの腹に食べ物を乗せたり、フォークの突き刺す刃の部分を上に向けるのを嫌います。魚料理などは、突き刺さずにフォークの背に乗せて上手く食べます。
スープのすくい方
スープのすくい方にも「奥から手前」「手前から奥」の違いがあります。
フランス式
奥から手前にすくい、音をたてて飲んではいけません。
イギリス式
手前から奥にすくいます。ズルズル音を立てないとか、熱いからといってフーフーしないのは、フランスでもイギリスでも同じです。
ナイフ・フォークを置く位置
食後にナイフとフォークを置く位置にも、フランスとイギリスでは違いがあります。
フランス式
食事中に手を休める際は、ナイフは4時の位置にフォークはその左右対称の位置に八の字にして置きます。食べ終わったら、ナイフとフォークを揃えて3時の方向に置きます。
イギリス式
食べ終わった後は、6時の方向にナイフとフォークを揃えて置きます。
といった感じで同じテーブルマナーでもフランスとイギリスでは、さまざまな違いがあるのです。
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日本の正式なテーブルマナーはイギリス流?
日本では、テーブルマナーにおいて色々な見解があります。その昔に使節団が西欧諸国に訪れ、日本の宮内庁では皇室とイギリス王室との政治的な観点からイギリス式マナーを採用した結果、日本で最初の正式なテーブルマナーはイギリス式になったようです。
白米の食べ方
細かく申し上げれば、フランスもイギリスも高級レストランで白米が登場するシーンは極めて稀です。もし日本のライスがでてきた場合は、上流階級のイギリス人はメインディッシュと一緒に白米もフォークの背に乗せて食されると思います。
日本では「フォークの背にご飯を乗せるのは、本来のマナーではない」と言われる事もありそうですが、「これは英国だと正式なマナーなんです」と言っていただいて結構だと思います。
ただし、白米は味がないので、白米だけをフォークの背に乗せて器用に食べるのは日本人だけかもしれません。あくまでも、フォークを右手に持ち替えない点がイギリス流なのです。
はしたなくなければ自分流でいい
現代では、イギリス人でもフォークを右手に持ち替えて、フォークの腹に乗せて食べている方がほとんどです。私個人は決して上流階級の人間ではないのですが、30年ほど前に仕事の関係でフランスやイギリスの上流階級の方達と一緒に会食をする機会を何度もありました。その経験をお伝えしているだけにすぎません。
私としては、食事は楽しく相手に不快を与えなければ、フランス式とかイギリス式にとらわれずに、美味しく食べられるのが一番だと思います。ライスであれば、お箸を要求しても全く恥ずかしい行為ではないと思います。
NGなテーブルマナー
自分流と申しましても、最低限のNGなマナーがあります。
● ステーキを一度に全てカットしない。
● フォークやナイフを持ったまま、人を指ささない。
● ナイフは刃を人の方に向けて置いてはいけない。
● ナプキンは膝の上に乗せる。首からかけない。
● お手洗いに行く際は、ナプキンは椅子の上に置く。
● 食べ終わったらナプキンは綺麗にたたまずに置く。
イギリスとフランスの共通マナーとしては、ナプキンをテーブルの上に置いていいのは、食事前と後だけです。食後にナプキンを綺麗にたたんで置くと、美味しくなかったという意思表示にもなります。
(↑さりげなく置いたナイフの刃が右側の席の人に向いているのはNG)
イギリスやフランスに関わらず、一番やってはいけないのがナイフの刃を自分とは違う方に向けることです。ナイフを使わない時、なにげに置いてしまうのですが、必ず自分の方に向けて置くようにしましょう。
まとめ
正式な英・仏流のテーブルマナーの違いを知った上で食事しているのか、していないのか、では大違いです。無知だと勘違いされて非難された時に、毅然とした態度で食事を続けることができます。
おそらく少数派かと思いますが、私は右手にフォークを持ち替えるのが面倒な無精者なので、日本にいる時は未だにフォークを持ち替えないイギリス式で、ライスは左手でフォークの背に乗せて食べます。
現在、私が生活しているセブは、左手にフォーク、右手にスプーンがスタンダードの国です。私の経済的な理由もあり、なかなか高級な料理にありつけないないのが残念ですが・・・涙
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この記事を書いた人
日本の大学を卒業後に、フランス、イギリス、アメリカを渡り歩き、気がつけばセブで生活をしている50代半ばのオッサンです。酒とビリヤードを愛する男。セブでは、日本人よりフィリピン人のほうが友達は多いです。ちょい悪オヤジになりきれない、か弱いオヤジ。今までの経験を通して、私らしい情報発信ができれば幸いです。